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exhibition

パラコンテクストアーキテクチャー

Under30 Architects exhibition 2011

これからの建築のありかたについて考えてみようと思う。

 

これまで建築はピュアなもの、形式の強いものを求めてきた。ピュアさはどうしても排他性をともない閉じた系をつくりたがる。建築は社会の実態が持つ雑然たる要素を引き受け、ピュアな形式から次の段階に進化系を描くべきである。ピュアな方向に向かう建築をプレアーキテクチャーだとするならばいろんな交じり気を引き受け、成長系を持つ建築をポストアーキテクチャーだといえよう。

  並列したストーリーの同時多発的存在ということを考えてみる。ピュアな物語が全体を構成してしまうのではなく多種多様な物語が同時に存在し、個々はピュアなキャラクターを持つのだが周囲の物語を引き受け次の物語へと昇華していく。物語は周囲のコンテクストにより次から次へと展開されていき、その物語もまたまわりにコンテクストを作り出し、周囲の物語を展開していく。同時多発的にいくつもの物語が展開されていき、それはいずれ群像としての総体的なあらわれを持つ。この群像としての総体は部分と全体の独立した関係を持ち、部分は全体を構成する要素であると同時にそれ独自の物語を持つ。ピュアな祖型が群像を変えうる主体性を持ち、他者の交じり気を取り込むことにより総体を違った世界へと展開し拡張していく。コンテクストが重なり合い重層化する私性の先にポストアーキテクチャーの姿を見る。

  本作品はひとつの実験的試みである。(私を支えてきてくれた人々の持つ)16の原風景から始まる。その原風景を基にして祖型としての建築モデルをつくりあげる。それはなんの交じり気も含まない16のピュアな建築祖型である。16の祖型をそれぞれが持つキャラクターをタグ化し、マッピングしていく。1つの祖形はそれ以外の15の祖型がつくりだすコンテクストにより、そのありようを変えていく。それと同時にその祖型自体もそれが持つコンテクストにより他の15の祖型のありようを変える。16の祖型はそれぞれが持つキャラクターを保ちつつも交じり気を引き受け、展開していき、群像としての総体的なあらわれをつくりだしていく。

  私という存在はただ一人の存在であると同時にその先に存在する多種多様な人々の持つ性質を引き受けてつくりだされる総体でもある。ここに表出した空間は私がつくりだす空間の総体としてのあらわれである。

 2011年3月11日、東日本大震災がこの国を襲った。

 

その次の日、私は先輩の結婚祝いの席にいた。
あの日以来ある気持ちの悪さが心の中に渦巻いている。
同じこの国でとんでもないことが起こっている。それとは別なところで個々の日常はいやおうなしに続いていく。世界がパラレルに動いているように感じざるおえない。
自分にできることは何かないのか、もがいてみるが、洗練され複雑化した社会システムが問題との接続を見えにくくしている。


 閉じられた環境の中で増幅し続ける私性と社会的イシューをいかに接続して考えることができるのか。
向かうべき未来へのプロセスをいかに描くことができるのか。


 社会的な歩みとかけ離れてしまった個人の欲望を抑え込んで社会を構築していくのではなく、私的なイシューのその先にそれらの総体としてのあるべき社会の像を描きなおすことはできないだろうか。


 このプロジェクトはこれからの建築のあり方、社会のあり方を考える上でのマニフェストのようなものである。
それぞれの私性を考える上で、原点になりうるであろう原風景というものから出発してみることにした。

展覧会/ 

Under30 Architects exhibition 2011 

期間/ 

2011.9.9-2011.10.10

場所/ 

ODPギャラリー​(大阪府大阪市)