建築を設計していくと…

今日、とある学生のお母さんとお会いしお話をした。そのかたが流された涙にグッと熱いものがこみ上げてきた。

建築を設計していくと、いろんな人々の人生を背負うことになる。 子供が産まれたり、おばあちゃんが亡くなったり、ご両親との同居が始まったり、結婚したり、小学生だった子供が大学を卒業し就職したり、独立してお店を持ったり... 今もまさに東京、静岡、愛知、京都、大阪、中国を駆け回り、そんなかけがえのない人生の一つ一つと向き合っている。 それだけに建築の仕事は、とっても責任が重大で、ちょっとしたことでその人の人生を良くも悪くも左右しかねないことを肝に銘じなければならない。 そんなわけで、人生や社会と向き合いどこまでいっても明確な答えに辿り着けることのない問いに、悩み、もがき、格闘し続けることになる。 限られた時間の中で少しでもよりよい建築にしてあげたいと思えば思うほど、必然的にハードワークにならざるをえない。 「時間も金もない。夢と希望だけがある。」なんてことをよく言っている。 と同時に、そんな設計をする所員や学生たちにも家族があり、生活があるわけだ。 ここ1ヶ月だけでも、所員のお父さん、所員の彼女、元所員の彼女、学生のお母さんにお会いした。みなそれぞれに大切に思い思ってくれている人がいる。 ふと立ち止まって考えてみると、僕はいかに多くの人の人生を背負っているのだろうか。 その重圧に押し潰されそうになることすらある。 もちろん、僕自身も彼ら彼女らに支えてもらっている。 うちの事務所は家族のようですらある。 所員たちが人生の大半を過ごすことになる事務所、楽しくなければやってられない。休日を心待ちにしているような人生なんてつまらない。 みんなで建築に悩み一喜一憂し腹割って語り合う。時にはぶつかり涙することもある。うちの事務所で涙を見せていない人のほうが少ないんじゃないかな。それだけみんな本気で向き合っている。 つまるところ僕は人が好きなんだな。 喜怒哀楽のある人生を愛しているんだな。 建築は人のため以上でも以下でもないと考えているし。

世知辛い世の中だからこそ、そういった原点を大切にしたい。 アメリカではトランプ政権が誕生し分断がおこっているというし、イギリスもEU離脱するっていうし、世の中どうなっていくのかわからないけれども、だからこそ、本当に大切なものを見失ってはいけないなって思う。

先日、大学1年生向けに期末テストを行った。穴埋めや選択問題を一切なくし、全て論述式の問題とした。暗記力を問うたところでどこまで意味があるのか疑わしいし、明確な答えのみえない問いと対峙し頭を悩ませて欲しかったから。第1問、建築とはなんであるか述べなさい。究極の問いだ。 僕から学生たちへのメッセージだ。ともに悩み考え続けようという。 こんな調子の難問13題にほとんどの学生が途中で諦め適当に記述してしまうことなく制限時間90分目一杯の時間をかけ頭を悩ませ考え続けてくれたことに少し驚いた。 未来は明るいのかもしれない。 なんともなしに脈絡と書いてしまったが、自分を取り巻く状況が日々広がっていくなかで試行錯誤している毎日なんだな。

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