Copyright © Takashi Yonezawa Architects All Rights Reserved.

  • Black Facebook Icon
  • Black Twitter Icon

建築バトルロイヤル

November 8, 2017

先週の土曜日、「X4DESIGN2017 大同大学建築学科建築専攻/インテリアデザイン専攻 優秀作品展」の一環で、「建築バトルロイヤル」というイベントを開催させていただいた。


愛知県内の4大学の学生が各自の設計課題を持ち寄り、相互講評を行い討論しあうというもの。

ルールは、2名を1組とし計4組が、各組ごとに、各自の設計課題をプレゼンテーション(5分以内/人)し、互いに講評(約10分/組)し合う。作品、プレゼンテーション、講評、反論や論の展開を基に勝ち負けのジャッジを行う。
各組の勝者4名により優勝者決定戦を行う。4名が互いに講評(約20分)し合い、その内容を基に優勝者を決定する。


参加者は、愛知工業大学から中村勇太、名古屋工業大学から森本創一朗、山口裕太、名古屋市立大学から池本祥子、大同大学から友田勇也、永田崚将、中村大輝、常盤亮介。


事前に参加者から米澤がジャッジすることの了承を得た上で、僕が司会進行、レフェリーを務めさせていただいた。

はじめての企画でどうなるかと内心、ひやひやしていたが、おおいに盛り上がった。


交互に講評し合うこのスタイルは、学生たちからの感想にもあったが、ラップバトルのそれに近い。
各試合、各試合で白熱のバトルが繰り広げられた。


両者が拮抗し、優劣のつけがたいジャッジを悩ませる状況が何度も訪れ、その都度、レフェリーである僕から決定打を探るクリティカルな質問を投下したり、会場にも質問や感想を求めたりもした。そんなこともあって会場全体が一体となるような雰囲気も生まれていた。

 

第1試合の山口VS友田では、実験的な造形生成法を提示する山口作品と、整然としたスケール操作の積み重ねにより設計された友田作品の方法論対決となり、互いに一歩も譲らない講評が繰り広げられるも、会場からの「言葉の巧みさは、むしろ危険である。」などの投げかけもあり、より作品の飛距離の大きな山口に軍配が上がる。

 

第2試合の池本VS常盤では、池本が常盤作品を高評価するというまさかの展開に出、けれども、その後にきっちり余剰空間がないことへの限界も指摘し、自身の作品の余剰空間の有効性につなげるという巧みな論を展開し、試合の流れをコントロールし、池本に軍配が上がる。

 

第3試合の中村勇太VS中村大輝では、前半、中村勇太による中村大輝作品の建築の前提、必要性を問うそもそも論を展開し、変則的な流れに持ち込むも、レフェリーである米澤が分け入り互いの作品の優劣を決定づけるためのクリティカルな質問を投げかけ、軸組と分散するボックスによる中村大輝作品と斜めの壁の配列とそれを貫くチューブによる中村勇太作品の構成論対決の構図が浮かび上がる。甲乙つけがたい展開に何度か硬直を見せたが、終始アグレッシブに批評を投げかけた中村勇太に軍配が上がる。

 

第4試合の森本VS永田では、自身のフェチからスタートし一点突破的につくりあげた歯車が連動し建築が回るという実験的な永田作品と、商店街のコンテクストを読み込みパブリックとプライベートという観点で構成した正統的な森本作品の対決となり、森本がコンテクストに対する考えを問うという自身のフィールドに引きずりこもうとするナイスファイトを展開するも、自作を意識するあまり、つっこみどころ満載な永田作品の最もクリティカルな論点であるはずの、なぜ空間を回す必要があるのかということへの批評を投げかけることができておらず、踏込みの弱さもあり、永田に軍配が上がる。

 

優勝者決定戦では、意外にも唯一2年生の池本の講評から流れが生まれる。
彼女は、山口作品の実験的ではあるが、機能的でないことや快適な空間でないことを指摘し、建築がすべきこと、その職能を問う。
いかにも名古屋市立大学らしい。ここでもコンセプトメイキングや実験性を重視する名古屋工業大学と設計の作法を大切にする名古屋市立大学という対立的構図が現れる。
これを機に、山口作品と永田作品のもつアンリアルな実験性と池本作品と中村作品のもつリアルな構築性という対比が浮かび上がり、設計作品における実験性、オリジナリティが主題となる。


各自の作品が、リアル、アンリアルを超えて、どのような建築的可能性を提示しうるかということが問われた。
自身が設計課題において取り組んだことへの意義をまだまだ自覚できておらず、その可能性を提示することに戸惑う様子が見られた。
その中、少々粗削りではあるが、アグレッシブに自作における実験性とそれが示す可能性を語り、頭一つ飛び出したのが中村だ。
その勢いのまま中村が優勝を勝ち取ることとなった。


永田、山口は挑戦的である自作への共感は集めたが、その可能性を言語化することができず失速し、池本は流れをつくるも自作を強く押し出しきれなかった。
思うに中村作品の攻守のバランスのよさが勝敗を決したのだろう。


実験的であることへの飛距離の設定と、それに応え建築にしたてあげるだけの設計力のバランスがよかった。
それに加え自作を信じ、勝ち残るんだという強い気持ちが優勝に結びついたのだろうと思う。
ということで第1回建築バトルロイヤルの優勝者は愛知工業大学の中村勇太くんに!

 

日ごろは講評を受ける側の学生たちが、自身も講評に参加する。
講評をすることは簡単ではない、それを通してクリティカルな論点を探る力、議論力を身につけてほしい。
相互講評を行うことで、その作品やその人に潜在していた可能性が引き出されていく。
なにより建築の議論を楽しんで欲しい。


そんなことを考えて「建築バトルロイヤル」という突拍子もない企画を考案してみたが、なかなかに面白いものになったのではないかと思う。
懇親会でも、楽しかった、勉強になった、もっと建築をやりたいなどの感想をいただいた。
参加者、来場者、関係者のみなさん、どうもお疲れさまでした。
また、やりましょう!

 

 

 

 

 

 

 

 

Share on Facebook
Share on Twitter
Please reload

特集記事

みなとまち空き家プロジェクト「DIYスクール」

January 24, 2019

1/10
Please reload

最新記事

November 11, 2018

November 6, 2018

Please reload

アーカイブ