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exhibition

わたげ -watage-

風に乗ってフワリと浮き上り、たどりついた地に根をはり花を咲かせるタンポポ。

お祭りの日、御神輿が家の前を通ったときのあの空気感。

春が訪れ桜が花を咲かせる、それだけでその下に人が集まり宴会が始まる不思議。

世の中にはふとしたことでその場に賑わいが生まれたりすることがある。

移動するフォリーを提案する。

いくつもの箱のようなものが道をねり歩き、その場その場に腰を下ろし空間を提供する。

それは店舗であったり、ラーメン屋であったり、大きな屋根であったり、マンガ喫茶、フリーマーケット、娯楽空間であったりする。

小さな整形の箱がその場に展開しそれぞれのキャラクターを持った空間性を周囲に拡張していく。そこに人が集まり、そのことがまた人を呼ぶ。

時間が経つとフォリーはその場を去り、また別のところに向かう。

そしてまた住人は別のフォリーが家の前の道を通るのを待つことになる。

移動するフォリーは色のなかった道に彩を与え、日常の中にイベントを持ち込む。

それはささいなきっかけのようなもので、住人自らが道に賑わいをつくり、そこに「SPACE OURSELVES」が生まれる。

年に一度のお祭りの日、家の中ではご馳走が用意され親戚が集まり、そわそわしながら御神輿の到来を待つ。
遠くの方から笛の音、鈴の音が聞こえてくる。それが大きくなるにつれ、路上がざわめいているのが感じられる。
わくわく感は絶頂になり、家族みんなで道に飛び出す。御神輿が多くの人を引き連れ道を練り歩く。
それにつられ道沿いの家々のあちらこちらから住人が顔を覗かせ、路上に出てくる。
道には普段見ることのない賑わいが生まれている。

春の到来を告げるように今年も桜が花を咲かせる。それを見るやいなや、われ先にと桜の木の下にござを敷き陣取る。
そのうち一人また一人と人々が集まり宴会が始まる。にぎわいはさらなる人を呼び、桜の下はござやシートで埋め尽くされる。
周囲には出店も出ていておおいに賑わう。あちこちで音楽が流れ、酔った人が大声で叫んでいる。
誰が何をしたでもなく、ただ桜が花をさかせる。それだけでにぎわいの場が生まれる。

≪展覧会概要≫

SPACE OURSELVES・・・私たち自身(の、による、のため)空間とは、建築を設計する専門家だけでなくその場所で生活し日々の営みを行うすべての人=私たちによって生み出され、または発見され、あるいは実践されていく空間のあり方を意味しています。

そのような空間の状態を起こし、手助けする建築はどんなかたちをしているのでしょうか。それはみんなのものであり、公共の建築ですが、いわゆる公共建築と呼ばれるものではないでしょう。

なぜならそれは、単に公のお金で建てられている、あるいは、大規模である、または、誰に/何にでも使える、ということを言っているにすぎないからです。

あらかじめ誰かから与えられる公共ではなく、みんなの喜びを自らの喜びと感じるという意識のもと、「私たち」自身の実践によって生み出されていく公共。これがいかにあり得るかを考え、そこに根付く建築を考えること。

それが生みだす場との応答の中で、人々が日々の生活空間のあり方を想像し実践する、そのような状態にある都市や街は、人々がいきいきと生活の豊かさを創造していく場所になるのではないでしょうか。

本企画は、2011年3月11日に発生した大震災後の復興プロセスの中で建築にできるひとつの提案ともなり得ると考えています。

今後被災地では、多くの方々が住み慣れた家やコミュニティを離れ、一時的な住まいに移られます。

元あった住民同士のつながりを維持し、あるいは元々なかったそのつながりをつくり、これから街を再建していく上で、住民みずからが自分たちの街の姿を想像し、その創造に参加していく感覚をいかに育んでいくのか。

もちろんこの問いは建築的にのみ解かれるものではありません。しかし、本展覧会のテーマは、この問いへと建築的なところから応えるひとつの試みとしてもあり得るのではないでしょうか。建築がそこに住む人々の活動に寄り添い、励まし、復興に向けて未来の空間を紡いでいく起点となることを願っています。

参加建築家

青木健/PLAY 建築都市人間デザイン研究所

梅原悟/UME architects

大室佑介/大室佑介アトリエ

岡部修三/upsetters architects

近藤哲雄/近藤哲雄建築設計事務所

島田陽/タトアーキテクツ

白須寛規/design SU

木村吉成、松本尚子/木村松本建築設計事務所

中村竜治/中村竜治建築設計事務所

西山広志、奥平桂子/NO ARCHITECTS

福士譲、福士美奈子/フクシアンドフクシ

福島加津也/福島加津也+冨永祥子建築設計事務所

藤田雄介/CAMP DESIGN INC.

前田茂樹/GEO-GRAPHIC DESIGN LAB.+大阪工業大学前田研究室

元木大輔/DAISUKE MOTOGI ARCHITECTURE

米澤隆/米澤隆建築設計事務所