
大阪府高槻市に建つ築150年の古民家のリノベーションプロジェクト
繊細で難易度の高い工事が続いているが、それにともないダイナミックな変化がもたらされつつある。
重厚な屋根空間が繊細な軸組に支えられ浮かび、周囲の環境が建築に浸透する。
新たな建築のありようが少しずつ見えてきた。

新技術開発プロジェクト
新技術開発プロジェクト、東京の試験場で実験を行う。 これまで教科書や参考書を通して知識としては知っていたものが、目の前の物体を通して、体感により把握することができた。 物体の変形により力の流れが可視化され、センシングにより荷重と変異の関係がモニターに映し出される。
こうしてみると、意匠に対して構造は定量的であり科学であると改めて感じるし、とてもプリミティブであるなとも思う。 その反面、ミシミシやバキッという音、少しずつ捻れていく形状の変化、それを固唾をのんで眺める人々の緊張感、時間の流れなどを感じるに、体感してみないことには構造の原理に関してなかなか実感をもてないというのは、いかにも定性的であるとも思う。 定量と定性を佳境するあたりに建築の本質はあるなと考えてみたりする。 一人の建築家としてこのあたりに建築の可能性を感じている。ロジカルであると同時にエモーショナルでもある建築のありかたを探求していきたい。

小牧の半屋外空間プロジェクト
米澤隆建築設計事務所と米澤隆研究室の協働により進めている「小牧の半屋外空間プロジェクト」のお施主さんへのプレゼンテーションを終える。
プロジェクトに参加する有志の学生5人も同席させていただいた。 この数ヶ月、学生たちとともに議論を重ね、スタディを繰り返し到達した建築案をひっさげ、みんなの思いも背負いプレゼンテーションにのぞんだ。
最後に学生たちからも一人一人、建築案に関する考えや思いを伝えさせていただく。 当初、カーポートの設計のご依頼をいただいていたが、
カーポートにとどまらず、半屋外空間を設けることで、既存の住居空間の環境の状態の変化や生活動線のありかた、リビングの開放性、内外を連続したアクティビティのありかたなどに及ぶ広がりのある提案としたために、
要望を超えたこの提案をどのように受け止めていただけるのかドキドキしてのぞんだが、お施主さんにご共感いただき気に入っていただけたようでよかった。 みんなが力を合わせて丁寧につくった模型を笑顔で写真を撮ってらっしゃるお施主さんの様子に、ほっこりした。 学生たちにとっても、自分たちが考えてきた

大阪府高槻市に建つ築150年の古民家のリノベーションプロジェクト
大阪府高槻市に建つ築150年の古民家のリノベーションプロジェクト、少しずつではあるが着実に工事が進んでいる。 ここを舞台に150年、江戸、明治、大正、昭和、そして平成といくつもの時代を超えて繰り広げられてきたであろう玉石混交の様々な生活の物語に想いを馳せ、それを受けとめ続けてきたこの建築にリスペクトの念を抱きつつ、
生活の変化に合わせて幾重にも重ねられ続けてきた表皮を一枚一枚慎重に剥ぎ落としていく。
徐々に建築がもつプリミティブな状態が現れてくる。 同時に、表皮が剥ぎ落とされたことで明るみになってきた長きに渡り集積し続けてきた古傷を癒していく。 次の150年に新たな想いを託し、工事を進める。 150年後かぁ…
どんな時代なのだろうか。